お彼岸にお墓参りをするという慣習はいいものだなと思います。ご先祖様とお話しをする感覚で春と秋のお彼岸。その頃に曼珠沙華は咲くのです。その赤い花は咲く時期から彼岸花と呼ばれます。
彼岸(ひがん)といえば悲願がふたつ達成しました。一つはラクビー「サクラジャパン」のワールドカップでの2勝目、実に24年ぶりの勝利です。それもラクビー大国の南アフリカから奪った勝利です。優勝候補の南アです。凄いの一言です。私の体の震えはまだとまりません。
もう一つは「天空の蜂」の映画化です。東野圭吾さんの原作の映画化。日本の原子力政策に関する疑問を推理小説でありながら社会派の小説として世に問うた、当時としては画期的な小説です。先日映画館に行きました。皮肉にも2011年の東北大震災による原発事故が映画化のきっかけになってしまいました。もし20世紀中に映画化し、多くの人にその問題点を知っていただけば、30万人の方々が現在も避難している「福島の原発事故」はもう少し減災できたのでは?と個人的には考えております。
東野圭吾さんは大阪の出身で、大学卒業後にデンソーに入社、岡崎生まれの彼女と結婚後、会社勤務しながら執筆活動を始め、「放課後」でで江戸川乱歩賞を受賞。数年後にデンソーを退社、上京して今日に至るのですが、東野氏の奥様は私の母校の1年上の先輩です。その縁で1990年の夏、当時住んでおられた埼玉県の新座市のご自宅にお伺いいたしました。今から25年前の話です。ご自宅で夕飯をごちそうになりましたが、話題は原子力発電の話に。
原発の冷却水は水ですが福井県の高速増殖炉「もんじゅ」に使用される冷却媒体は、液体ナトリウムです。「それって空気に触れると発火し、水に触れると爆発します。コンクリートに接するとコンクリート自体が燃える。高速増殖炉はコンクリートの発火を防ぐために鉄を大量に使ってラッピングしますが、もし事故で原子炉が暴走すれば高温によって鉄が溶けてコンクリートが発火し、原子炉が核爆弾化する。まして放射能に汚染された液化ナトリウムがさらに気化して空中に放出されるという最悪の事態に対して、その対処法がないという理由で、アメリカやフランスなどはその開発を断念したんです。でも日本はこの高速増殖炉を「夢の原子炉」と吹聴し推進している現状です。これっておかしくないですか?絶対おかしいです。」
1995年「天空の蜂」が刊行。推理小説ですが社会派小説です。夏休み課題の読書感想文が何一つ始められない中3の生徒にこの本を貸し出しましたが、読書大嫌い人間の彼が二日間で読み切り、感想文もあっという間に書き終え、「先生、この本の映画を見たい!」と言ってから約20年が過ぎました。
20年かかった映画化、24年かかったラグビーワールトカップの2勝目。悲願達成です。