11月3日は文化の日。岡崎城公園では徳川家康没後400年にちなみ「家康公四百年祭」が開かれていました。
朝9時から裏千家と宗偏流の2席のお茶会に出席いたしました。野点(のだて)でまず一服いただきました。とてもおいしかったです。次に茶室へ。ところがひょんなことから正客になってしまい戸惑いました。
茶道のお茶会は「亭主と客」がおり、亭主はお茶会の主催者、客は大勢いるのですがその中から最上位の人を二人決めます。正客と次客です。この二人の客に対してお点前によりお茶が2服たてられます。
茶室に上がると正客がなかなか決まらずお茶会が始まりまりません。お茶の先生もそこには大勢おられるのですが、膝が痛く正座ができない、亭主に失礼で正客をお受けできない。そこで私にお誘いがありました。もちろんお断りしたのですが何人もの人に何度も何度も頼んでは断られるばかり。また私に再々のお誘い。たぶんわたしがスーツ姿で「袱紗(ふくさ)ばさみ」を持参していたので頼んでも大丈夫、心得がある人であろうという判断だったのでは?というふうに推察しました。ふくさばさみというのは、ふくさ、懐紙、黒楊枝、扇子が入ったバッグみたいなもののことです。お茶会をすみやかに開始させるためにもここはひとつお受けすべきかと思い直しました。私は心を整え威風堂々と正客のお席へ上がりました。
空気が落ち着き、ふすまが静かに開きました。何事もなかったかのようにお茶会は始まったのでした。
30年ぶりの正客、「一期一会」という言葉の意味をかみしめながら、一服いただいた岡崎城公園の家康公四百年祭のお茶会でありました。